2023.
01.
12
イワナガヒメ登場は異文二以降です。
異文二では、オオヤマツミは父と記述され、イワナガヒメは妹だけ召されたことを恥じて、子孫の命は短く散るだろう、と呪ったことになっています。
異文六でやっと、古事記風味な物語が登場します。
ニニギ尊
「あの波頭の立っている波の上に、大きな御殿を建て、手玉もころころと機織りをしている少女は誰の娘か?」
事勝国勝長狭(ことかつくにかつながさ古事記の塩土老翁)
「大山祇神の娘たちで、姉を磐長姫、妹を木花咲耶姫言います。またの名は豊吾田津姫です」
ということで、云々があった。
ここで波の上の謎宮殿が登場、オオヤマツミの娘達が機織り女(七夕伝説で天帝の娘が織女だったように、大日孁が高天原でやっていた程度に高貴な身分)であることが判明し、云々があったというのは火中出産にまつわるあれこれである模様でです。
子は無事に生まれましたが、サクヤヒメは口も利かずレスになったので、いじけたニニギが水鳥のつがいを見て『うらやま爆発しろ』とかいう歌を歌って終了。
オオヤマツミ(父)がニニギに頼まれてもいないのにサクヤヒメとイワナガヒメを一緒に嫁がせて、ニニギがぶすに恐れおののいて実家に返したら、オオヤマツミに『天つ神の御子の寿命は、木の花のように儚いものとなるでしょう』とか後出しジャンケンで言い出した理不尽バナナ型神話は、古事記だけの物語なのです。
迂闊だった。これは私も見逃していた、と反省です。
古事記の浸透っぷりがすごいのは、江戸時代になってあれこれ考察が活発になったからでしょうか。
日本書紀が流行らなかった理由は知りませんが。
サクヤヒメとイワナガヒメ姉妹の人間の寿命話のほかにも、スサノオのヤマタノオロチ退治、因幡の白兎、山幸彦と海幸彦、辺りは、その部分だけ切り取られてその部分だけ絵本になっていたような気がするので、特に神話ヲタでなくても知っている人が多いと思います。
日本書紀と古事記は違う部分が案外多く、しかも日本書紀は本文のほかに異文が律儀に記されているので案外情報量が多いのに、その異文の挿入で時系列がゴチャゴチャして見えるし文章が堅苦しいのでつい避けがちになります。
これからは気を付けたいです。
……という訳で、横道に逸れましたが、
日本書紀本文の原文:妾是天神娶大山祇神所生兒也。
これって、娶っているのは天神(天津神)で、オオヤマツミが娶られてる側だよね???
ママ・オオヤマツミ降臨だよね!?
私の読み方が間違っているのなら、誰か教えて下さいプリーズ。
でも、実は間違っていたとしても、オオヤマツミが波の上に宮殿に住む海の女神だとすると、色々辻褄が合うのでそうであって欲しいです。(後述)
気になるのは、オオヤマツミを娶った天神って誰?ということです。
アメノホヒ・アメノワカヒコが出雲に降るも、大国主に心酔したり大国主の娘を嫁に貰っちゃってたりして埒があかないので、フツヌシ神とタケミカヅチ神が降って国譲りとか言う武力と恫喝で決着を付けたとかいうのはあるんですけれども、どうもサクヤヒメとは無関係です。
それ以前に確実に天降った天神って、
スサノオ様しか思い付かないんですが?
高天原から既に五十猛兄様が同行していたかも知れないし、ニギハヤヒも天孫扱いでニニギに先んじているのですが、大物主やオオトシと同一説がある程度に世代が合わない気がしますし。
(つづく)
異文二では、オオヤマツミは父と記述され、イワナガヒメは妹だけ召されたことを恥じて、子孫の命は短く散るだろう、と呪ったことになっています。
異文六でやっと、古事記風味な物語が登場します。
ニニギ尊
「あの波頭の立っている波の上に、大きな御殿を建て、手玉もころころと機織りをしている少女は誰の娘か?」
事勝国勝長狭(ことかつくにかつながさ古事記の塩土老翁)
「大山祇神の娘たちで、姉を磐長姫、妹を木花咲耶姫言います。またの名は豊吾田津姫です」
ということで、云々があった。
ここで波の上の謎宮殿が登場、オオヤマツミの娘達が機織り女(七夕伝説で天帝の娘が織女だったように、大日孁が高天原でやっていた程度に高貴な身分)であることが判明し、云々があったというのは火中出産にまつわるあれこれである模様でです。
子は無事に生まれましたが、サクヤヒメは口も利かずレスになったので、いじけたニニギが水鳥のつがいを見て『うらやま爆発しろ』とかいう歌を歌って終了。
オオヤマツミ(父)がニニギに頼まれてもいないのにサクヤヒメとイワナガヒメを一緒に嫁がせて、ニニギがぶすに恐れおののいて実家に返したら、オオヤマツミに『天つ神の御子の寿命は、木の花のように儚いものとなるでしょう』とか後出しジャンケンで言い出した理不尽バナナ型神話は、古事記だけの物語なのです。
迂闊だった。これは私も見逃していた、と反省です。
古事記の浸透っぷりがすごいのは、江戸時代になってあれこれ考察が活発になったからでしょうか。
日本書紀が流行らなかった理由は知りませんが。
サクヤヒメとイワナガヒメ姉妹の人間の寿命話のほかにも、スサノオのヤマタノオロチ退治、因幡の白兎、山幸彦と海幸彦、辺りは、その部分だけ切り取られてその部分だけ絵本になっていたような気がするので、特に神話ヲタでなくても知っている人が多いと思います。
日本書紀と古事記は違う部分が案外多く、しかも日本書紀は本文のほかに異文が律儀に記されているので案外情報量が多いのに、その異文の挿入で時系列がゴチャゴチャして見えるし文章が堅苦しいのでつい避けがちになります。
これからは気を付けたいです。
……という訳で、横道に逸れましたが、
日本書紀本文の原文:妾是天神娶大山祇神所生兒也。
これって、娶っているのは天神(天津神)で、オオヤマツミが娶られてる側だよね???
ママ・オオヤマツミ降臨だよね!?
私の読み方が間違っているのなら、誰か教えて下さいプリーズ。
でも、実は間違っていたとしても、オオヤマツミが波の上に宮殿に住む海の女神だとすると、色々辻褄が合うのでそうであって欲しいです。(後述)
気になるのは、オオヤマツミを娶った天神って誰?ということです。
アメノホヒ・アメノワカヒコが出雲に降るも、大国主に心酔したり大国主の娘を嫁に貰っちゃってたりして埒があかないので、フツヌシ神とタケミカヅチ神が降って国譲りとか言う武力と恫喝で決着を付けたとかいうのはあるんですけれども、どうもサクヤヒメとは無関係です。
それ以前に確実に天降った天神って、
スサノオ様しか思い付かないんですが?
高天原から既に五十猛兄様が同行していたかも知れないし、ニギハヤヒも天孫扱いでニニギに先んじているのですが、大物主やオオトシと同一説がある程度に世代が合わない気がしますし。
(つづく)

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