2023.
01.
13
《須佐之男=須佐の女王の夫》ならば、歴史上何代も続いていた可能性があるので、あまり世代を気にしなくてもいい神様だと思います。
スサノオの数々のエピソードをお上の検閲で殆ど削られてしまった出雲国風土記が、かろうじて
『神須佐乃烏命』
と書き残したスサノオという祖神の名、或いは複数の出雲王のイメージの習合は、一体となって祖霊信仰の対象であったのではないかと思います。
そうであるならば、
オオヤマツミの娘
・テナヅチ(アシナヅチの夫且つ兄弟・クシナダヒメの母)
・カムオオイチヒメ(スサノオの妻)
・コノハナチルヒメ(スサノオ×クシナダ姫の子・ヤシマジヌミの母)
・コノハナサクヤヒメ(ニニギの妻)
オオヤマツミの孫
・クシナダヒメ(スサノオの妻。テナヅチの娘)
という、世代はどうなっとるんじゃ的な系図もどうにか説明出来そうです。
クマソタケルのように、兄弟統治(兄建/えたける&弟建/おとたける)という風習の国もあったようですが、古代出雲は女王国です。
稲田宮主である須佐の女王テナヅチ・末娘クシナダ・スセリヒメ、と少なくともこの3人は女王です。
女王の伴侶が男王です。今の言葉で言うなら『王配』でしょうか。政治担当なので権力は強いですけど。
アシナヅチは夫であると同時にテナヅチの兄か弟だと思われますが、スサノオもオオナムチも入婿です。
※ オオナムチがスサノオの6世の孫ではなく日本書紀通りにスサノオ×クシナダヒメの息子で、古事記で言うところのヤシマジヌミと同一なら、オオナムチとスセリヒメは兄妹婚になります。
私は、推し女神スセリヒメ様はクシナダヒメ様の娘に違いない!と単に八王子の並びでそう思っていたこともあるし、実は八王子の母神として神大市比売とか左美良比売とかも祀られていて、しかも記紀にも風土記にも出て来ない謎のサミラヒメがスセリヒメの母神であるという設定を知った時には、大層驚いたものです。
真髪触奇稲田媛という、真神とも読める偉大な名を持つ女王・クシナダヒメの跡取り娘に、須佐之男(須佐の女王の夫)という通名で語られる男の、たかが妾(地方妻)が産んだ娘が選ばれるなんてあり得るのか!?と。
末子相続であっても、男王の子というだけで順番を付けるのでは女系の国は荒れることでしょう。
女王(嫡妻)の末娘を次期女王にするのが、一番理に適っています。
オオナムチがよそで女を作りまくって子も作りまくって、という形で政略結婚をして版図を広げていったというやり方は理解出来ますし、スサノオ様も同じことをしたと思いますが、だからといって出雲の次代女王を『スセリヒメの宗女』以外から選んだなら、国譲りという名の恫喝がなかったとしても国は大いに乱れていたはずです。
ならば、スサノオの嫡妻クシナダ女王の跡を継いだのは誰なのか?
本当にスセリヒメなのか?
『サミラヒメ』がスセリヒメの母神なら、サミラヒメとクシナダヒメが母系で近い繋がりがない限りスセリヒメはクシナダ女王の娘ではない=スセリヒメはクシナダヒメの宗女ではない、ということになってしまいます。
女王の宗女でないのなら、どうしてスセリヒメは出雲女王になったのか?
……というこの辺りで、私の頭は長い間行き詰まっていたのです。
古事記の系図の仄めかしに乗せられてやるなら、宇迦山の麓の宮殿に住んでいたスセリヒメ=ウカノミタマとなり、その母はクシナダ姫ではなく『神大市比売/カムオオイチヒメ』になるからです。
でも、この問題は、オオヤマツミが女神だとすればあっという間に氷解します。(前回、後述と書いた箇所の伏線回収)
テナヅチがオオヤマツミの娘、神大市比売もオオヤマツミの娘、とくれば宇迦之御魂(スセリヒメ)と櫛名田比売の祖母は同じ=従姉妹同士なのですから。
ただ、奇妙なのは
大山祇(おおやまつみ)という名前なのに海神。
という謎。
しかし、名前がどうあろうとニニギ尊の宮が気軽に海がすぐそこに見える場所に行けるくらいの場所にあり、日本書紀の本文と異文がくれたヒントを合わせれば、波の上の宮殿にコノハナサクヤヒメがいた以上、大山祇は海の女神です。
スサノオにも大海原の統治を命じられた程度に海神属性と海人族属性がありますから、オオヤマツミが海や波の女神であるならば接点はありそうです。
そして、私達は『おおやまつみ』という音を聞くと、大きい山の神or大いなる山の神、と思い込んでしまいます。
しかし、そもそも『やま』の古語や語源が私達が思う『山』とは違うものだったとしたら?
だって、漢字は【山並(み)・山脈】と当てていても、やまなみ っていう、山以外の何ものでもないのに海を連想させる言葉があるじゃないですか。
波に例えられる『やま』って、一体何?
というのを調べました。
こちら(山を考える)が詳しいです。
山の他に『峰/みね』『岳/たけ』についても言及があります。
また、驚かされたのがこちらのページ(日本語の意外な歴史)です。
山(yama)の語源が水にあったとは!
古代の人にとっては、土が高く低く連なる様も、水が高く低く遥かに続いてゆく様も、同じイメージだったのでしょうか。
そして、普通に海神だとされているのが綿津見(わたつみ)です。
ワタ(海の意)+つ(~の)+み(神霊)と解されるのが一般的ですが、
ワタって何?という謎が残ります。
(つづく)
スサノオの数々のエピソードをお上の検閲で殆ど削られてしまった出雲国風土記が、かろうじて
『神須佐乃烏命』
と書き残したスサノオという祖神の名、或いは複数の出雲王のイメージの習合は、一体となって祖霊信仰の対象であったのではないかと思います。
そうであるならば、
オオヤマツミの娘
・テナヅチ(アシナヅチの夫且つ兄弟・クシナダヒメの母)
・カムオオイチヒメ(スサノオの妻)
・コノハナチルヒメ(スサノオ×クシナダ姫の子・ヤシマジヌミの母)
・コノハナサクヤヒメ(ニニギの妻)
オオヤマツミの孫
・クシナダヒメ(スサノオの妻。テナヅチの娘)
という、世代はどうなっとるんじゃ的な系図もどうにか説明出来そうです。
クマソタケルのように、兄弟統治(兄建/えたける&弟建/おとたける)という風習の国もあったようですが、古代出雲は女王国です。
稲田宮主である須佐の女王テナヅチ・末娘クシナダ・スセリヒメ、と少なくともこの3人は女王です。
女王の伴侶が男王です。今の言葉で言うなら『王配』でしょうか。政治担当なので権力は強いですけど。
アシナヅチは夫であると同時にテナヅチの兄か弟だと思われますが、スサノオもオオナムチも入婿です。
※ オオナムチがスサノオの6世の孫ではなく日本書紀通りにスサノオ×クシナダヒメの息子で、古事記で言うところのヤシマジヌミと同一なら、オオナムチとスセリヒメは兄妹婚になります。
私は、推し女神スセリヒメ様はクシナダヒメ様の娘に違いない!と単に八王子の並びでそう思っていたこともあるし、実は八王子の母神として神大市比売とか左美良比売とかも祀られていて、しかも記紀にも風土記にも出て来ない謎のサミラヒメがスセリヒメの母神であるという設定を知った時には、大層驚いたものです。
真髪触奇稲田媛という、真神とも読める偉大な名を持つ女王・クシナダヒメの跡取り娘に、須佐之男(須佐の女王の夫)という通名で語られる男の、たかが妾(地方妻)が産んだ娘が選ばれるなんてあり得るのか!?と。
末子相続であっても、男王の子というだけで順番を付けるのでは女系の国は荒れることでしょう。
女王(嫡妻)の末娘を次期女王にするのが、一番理に適っています。
オオナムチがよそで女を作りまくって子も作りまくって、という形で政略結婚をして版図を広げていったというやり方は理解出来ますし、スサノオ様も同じことをしたと思いますが、だからといって出雲の次代女王を『スセリヒメの宗女』以外から選んだなら、国譲りという名の恫喝がなかったとしても国は大いに乱れていたはずです。
ならば、スサノオの嫡妻クシナダ女王の跡を継いだのは誰なのか?
本当にスセリヒメなのか?
『サミラヒメ』がスセリヒメの母神なら、サミラヒメとクシナダヒメが母系で近い繋がりがない限りスセリヒメはクシナダ女王の娘ではない=スセリヒメはクシナダヒメの宗女ではない、ということになってしまいます。
女王の宗女でないのなら、どうしてスセリヒメは出雲女王になったのか?
……というこの辺りで、私の頭は長い間行き詰まっていたのです。
古事記の系図の仄めかしに乗せられてやるなら、宇迦山の麓の宮殿に住んでいたスセリヒメ=ウカノミタマとなり、その母はクシナダ姫ではなく『神大市比売/カムオオイチヒメ』になるからです。
でも、この問題は、オオヤマツミが女神だとすればあっという間に氷解します。(前回、後述と書いた箇所の伏線回収)
テナヅチがオオヤマツミの娘、神大市比売もオオヤマツミの娘、とくれば宇迦之御魂(スセリヒメ)と櫛名田比売の祖母は同じ=従姉妹同士なのですから。
ただ、奇妙なのは
大山祇(おおやまつみ)という名前なのに海神。
という謎。
しかし、名前がどうあろうとニニギ尊の宮が気軽に海がすぐそこに見える場所に行けるくらいの場所にあり、日本書紀の本文と異文がくれたヒントを合わせれば、波の上の宮殿にコノハナサクヤヒメがいた以上、大山祇は海の女神です。
スサノオにも大海原の統治を命じられた程度に海神属性と海人族属性がありますから、オオヤマツミが海や波の女神であるならば接点はありそうです。
そして、私達は『おおやまつみ』という音を聞くと、大きい山の神or大いなる山の神、と思い込んでしまいます。
しかし、そもそも『やま』の古語や語源が私達が思う『山』とは違うものだったとしたら?
だって、漢字は【山並(み)・山脈】と当てていても、やまなみ っていう、山以外の何ものでもないのに海を連想させる言葉があるじゃないですか。
波に例えられる『やま』って、一体何?
というのを調べました。
こちら(山を考える)が詳しいです。
山の他に『峰/みね』『岳/たけ』についても言及があります。
また、驚かされたのがこちらのページ(日本語の意外な歴史)です。
山(yama)の語源が水にあったとは!
古代の人にとっては、土が高く低く連なる様も、水が高く低く遥かに続いてゆく様も、同じイメージだったのでしょうか。
そして、普通に海神だとされているのが綿津見(わたつみ)です。
ワタ(海の意)+つ(~の)+み(神霊)と解されるのが一般的ですが、
ワタって何?という謎が残ります。
(つづく)

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