2023.
01.
11
サクヤ・イワナガ姉妹がふたりだけで同じ宮殿にいたのは、同母の姉妹だからなのでしょう。
尤も、スセリヒメ様は根の国でパパ・スサノオと一緒に暮らしていたようなので、父の手元で育つこともあるのかもしれませんけど。
っていうか、
しばらく前に仰天したのが、日本書紀でニニギがサクヤ様をナンパした場面です。
皇孫がこの美人に、
「あなたは誰の娘ですか?」
と問われた。すると、
「私は天津神が大山祇神(おおやまつみのかみ)を娶とって生まされた子です」
と答えた。
まさかのオオヤマツミ女体化。
しかもこれ、日本書紀の本文です。
どうして今まで気付かなかったんだよ自分!そしてどうして誰もここに突っ込まないんだよ!?異文じゃなくて本文だよ本文!!
サクヤ様「私の父に、大山祇神がいます。(結婚については)どうか父にお尋ね下さい」
……というのは、異文一なのです。
古事記もこっちの路線です。
多くの人は如何にも記録です、という日本書紀より物語風味の古事記の方が好きなので、こっちで納得したのでしょう。
因みに、本文の方は実にスッキリしていて、内容は
『天孫が美人を見付けて身元を尋ね、美人は名は神吾田津姫(かむあたつひめ。サクヤヒメのこと)で、天神がオオヤマツミ(地祇)を娶って生んだ子です、と答えた。天孫は美人を召した。一夜契っただけで妊娠したので、天孫が「天津神でも一夜で孕ませることが出来ようか。私の子ではない」と言ったので鹿葦津姫(かしつひめ。サクヤ様のこと。何故かここで3つめの名が出る)は怒り恨んで火中出産なら天孫の子!と過激な占いをやらかして、無事3人の子が生まれて名を付けた。時が経ち、天孫が亡くなり葬った。』
という、これだけです。
ホント、これだけ。
実は、本文には姉のイワナガヒメは出てきていません。だからニニギ尊以降の子孫は寿命が短くなる、というエピソードもありません。
3人きょうだいの真ん中は空気の法則に忠実なコノハナチルヒメは日本書紀には一切出てきません。古事記でヤシマジヌミの妻とされている系図に名があるのみで、具体的なエピソードはありません。
日本書紀は本文が正しい伝承である、と判断した正しい歴史の記述であり、一書曰(あるふみいわく)で始まる異文は「他の言い伝えもありますが」という補足です。
ですから、
「ニニギが召した美少女は、天神が地祇オオヤマツミを娶って生まれたハーフという地上においてはかなり高貴な姫であり、貞節なサクヤヒメが3人の子を産み、うちひとりが皇統に繋がりました。」
というこれだけが、日本書紀が主張する正しい歴史なのです。
(つづく)
尤も、スセリヒメ様は根の国でパパ・スサノオと一緒に暮らしていたようなので、父の手元で育つこともあるのかもしれませんけど。
っていうか、
しばらく前に仰天したのが、日本書紀でニニギがサクヤ様をナンパした場面です。
皇孫がこの美人に、
「あなたは誰の娘ですか?」
と問われた。すると、
「私は天津神が大山祇神(おおやまつみのかみ)を娶とって生まされた子です」
と答えた。
まさかのオオヤマツミ女体化。
しかもこれ、日本書紀の本文です。
どうして今まで気付かなかったんだよ自分!そしてどうして誰もここに突っ込まないんだよ!?異文じゃなくて本文だよ本文!!
サクヤ様「私の父に、大山祇神がいます。(結婚については)どうか父にお尋ね下さい」
……というのは、異文一なのです。
古事記もこっちの路線です。
多くの人は如何にも記録です、という日本書紀より物語風味の古事記の方が好きなので、こっちで納得したのでしょう。
因みに、本文の方は実にスッキリしていて、内容は
『天孫が美人を見付けて身元を尋ね、美人は名は神吾田津姫(かむあたつひめ。サクヤヒメのこと)で、天神がオオヤマツミ(地祇)を娶って生んだ子です、と答えた。天孫は美人を召した。一夜契っただけで妊娠したので、天孫が「天津神でも一夜で孕ませることが出来ようか。私の子ではない」と言ったので鹿葦津姫(かしつひめ。サクヤ様のこと。何故かここで3つめの名が出る)は怒り恨んで火中出産なら天孫の子!と過激な占いをやらかして、無事3人の子が生まれて名を付けた。時が経ち、天孫が亡くなり葬った。』
という、これだけです。
ホント、これだけ。
実は、本文には姉のイワナガヒメは出てきていません。だからニニギ尊以降の子孫は寿命が短くなる、というエピソードもありません。
3人きょうだいの真ん中は空気の法則に忠実なコノハナチルヒメは日本書紀には一切出てきません。古事記でヤシマジヌミの妻とされている系図に名があるのみで、具体的なエピソードはありません。
日本書紀は本文が正しい伝承である、と判断した正しい歴史の記述であり、一書曰(あるふみいわく)で始まる異文は「他の言い伝えもありますが」という補足です。
ですから、
「ニニギが召した美少女は、天神が地祇オオヤマツミを娶って生まれたハーフという地上においてはかなり高貴な姫であり、貞節なサクヤヒメが3人の子を産み、うちひとりが皇統に繋がりました。」
というこれだけが、日本書紀が主張する正しい歴史なのです。
(つづく)

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