2022.
12.
08
そして、ニニギがサクヤヒメを見初めるのが何故か「浜辺」なんですよね。
目の前海じゃん。
何で山の神の娘が浜辺にいるんだろ?
母か父か知らんけど、ここは親がワタツミ(海神)の方がしっくりくる場面です。サラッと書かれているけど、意味も無くわざわざ異文まで設けて書くとも思えないので謎です。
そして、この異文でバナナ型神話が登場します。
堅固な石よりもすぐ腐るバナナを選んじゃったので、人の寿命が云々という神話の定型です。
イワナガヒメが石ポジションで、サクヤヒメがバナナポジションです、
ニニギがイワナガヒメを選ばなかったので今後の子孫は咲き誇る花の如く栄えるが、その命は神の寿命を失い儚いものとなるでしょう、というオチです。
なんか、記紀神話って、別個に存在していた伝承・昔話をつなぎ合わせて、その中に皇統の系図を入り込ませた感があるんですよね。
日月分離神話(多分主人公はヒルコとアワシマだった)にオオヒルメとツクヨミを当てはめて、オオヒルメの地位を天照大御神という絶対の太陽神にして、理由はわからないけれども月神(名前と状況から推定されるだけで明言はされていない)ツクヨミを追い出すとか。
イワナガヒメも、権力が絡みまくる神話の書物に取り込まれて醜女にされてしまっただけで、本当はそれはそれは神々しい美女だと思うんですよね。
日本には縄文に遡ると思われる磐座信仰があり、記紀の時代でも『天磐櫲樟船/あめのいわくすふね』とか『鳥磐櫲樟船/とりのいわくすふね』に乗って空を渡り、そもそもその磐船自体が神様である、という伝承が記紀にも記されています。
日本は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまでの国なんだよ!
イワナガヒメを貶めるような国じゃないんだよ!!
イワナガヒメは、皇族とは相容れない氏族に信仰されていた女神だったのかもしれない、と思います。
或いは、実在の人物がモデルになっているならば、イワナガヒメは皇統ではない一族の男(権力者)と結婚したか。
サクヤヒメの出産結果に話を戻します。今度は、
長男:炎が出始めたときに生まれた子を、火酢芹命。
次男:火の盛んなときに生まれた子を、火明命ほのあかりのみことと名づけた。
三男:次に生まれた子を、彦火火出見尊という。またの名を火折尊(ほおりのみこと)という。
ホスセリ、今度は長男です。
また、ナントカの祖とかいう説明は特にありません。
次、異文その三。出産結果のみ。
はじめに炎が明るくなったときに生まれた子を、火明命。
次に、炎の盛んになったときに生まれた子を火進命(ほのすすみのみこと)。または、火酢芹命。
次に、炎がなくなるときに生まれた子を、火折彦火火出見尊(ほおりひこほほでみのみこと)という。
今度は火酢芹は次男で、火進(ホススミ)という別名があるという新情報がやっと登場です。
そして、ヒコホホデミ尊の頭に「火折/ホオリ」ががくっ付いて、古事記の記述と一致します。(古事記では「火遠理」表記)
記紀神話読んでると、皇統は「火明/ホアカリ」が嫌いなのかな~と思う時があります。
実はニニギに兄がいた、と後出しされるんですよね。その名も「天火明/アメノホアカリ」。
じゃー、オシホミミがびびって葦原中国に降りることが出来ないなら、だったらニニギが産まれるのを待たずとも、既にいるはずの長男・天火明を天降らせればいいじゃんって思うんですけど、それすらも後出しで「先に天降った天孫がいた」とか言い出す訳です。
何で天降ったんだろう?アマテラスがわざわざオシホミミを降臨させようとして、ダメだからニニギにっていう命を下すんだけど、アマテラスは自分の孫のひとりがとっくに葦原中国に降りていったってことを知らなかったの?
この不自然さ。
天火明がニニギの兄っていう設定が、取り繕おうとするほど嘘臭くなってくる。ちなみに、天孫・天火明って、別名
天照国照彦火明櫛玉饒速日命っていうらしいんですけどね。
(つづく)
目の前海じゃん。
何で山の神の娘が浜辺にいるんだろ?
母か父か知らんけど、ここは親がワタツミ(海神)の方がしっくりくる場面です。サラッと書かれているけど、意味も無くわざわざ異文まで設けて書くとも思えないので謎です。
そして、この異文でバナナ型神話が登場します。
堅固な石よりもすぐ腐るバナナを選んじゃったので、人の寿命が云々という神話の定型です。
イワナガヒメが石ポジションで、サクヤヒメがバナナポジションです、
ニニギがイワナガヒメを選ばなかったので今後の子孫は咲き誇る花の如く栄えるが、その命は神の寿命を失い儚いものとなるでしょう、というオチです。
なんか、記紀神話って、別個に存在していた伝承・昔話をつなぎ合わせて、その中に皇統の系図を入り込ませた感があるんですよね。
日月分離神話(多分主人公はヒルコとアワシマだった)にオオヒルメとツクヨミを当てはめて、オオヒルメの地位を天照大御神という絶対の太陽神にして、理由はわからないけれども月神(名前と状況から推定されるだけで明言はされていない)ツクヨミを追い出すとか。
イワナガヒメも、権力が絡みまくる神話の書物に取り込まれて醜女にされてしまっただけで、本当はそれはそれは神々しい美女だと思うんですよね。
日本には縄文に遡ると思われる磐座信仰があり、記紀の時代でも『天磐櫲樟船/あめのいわくすふね』とか『鳥磐櫲樟船/とりのいわくすふね』に乗って空を渡り、そもそもその磐船自体が神様である、という伝承が記紀にも記されています。
日本は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまでの国なんだよ!
イワナガヒメを貶めるような国じゃないんだよ!!
イワナガヒメは、皇族とは相容れない氏族に信仰されていた女神だったのかもしれない、と思います。
或いは、実在の人物がモデルになっているならば、イワナガヒメは皇統ではない一族の男(権力者)と結婚したか。
サクヤヒメの出産結果に話を戻します。今度は、
長男:炎が出始めたときに生まれた子を、火酢芹命。
次男:火の盛んなときに生まれた子を、火明命ほのあかりのみことと名づけた。
三男:次に生まれた子を、彦火火出見尊という。またの名を火折尊(ほおりのみこと)という。
ホスセリ、今度は長男です。
また、ナントカの祖とかいう説明は特にありません。
次、異文その三。出産結果のみ。
はじめに炎が明るくなったときに生まれた子を、火明命。
次に、炎の盛んになったときに生まれた子を火進命(ほのすすみのみこと)。または、火酢芹命。
次に、炎がなくなるときに生まれた子を、火折彦火火出見尊(ほおりひこほほでみのみこと)という。
今度は火酢芹は次男で、火進(ホススミ)という別名があるという新情報がやっと登場です。
そして、ヒコホホデミ尊の頭に「火折/ホオリ」ががくっ付いて、古事記の記述と一致します。(古事記では「火遠理」表記)
記紀神話読んでると、皇統は「火明/ホアカリ」が嫌いなのかな~と思う時があります。
実はニニギに兄がいた、と後出しされるんですよね。その名も「天火明/アメノホアカリ」。
じゃー、オシホミミがびびって葦原中国に降りることが出来ないなら、だったらニニギが産まれるのを待たずとも、既にいるはずの長男・天火明を天降らせればいいじゃんって思うんですけど、それすらも後出しで「先に天降った天孫がいた」とか言い出す訳です。
何で天降ったんだろう?アマテラスがわざわざオシホミミを降臨させようとして、ダメだからニニギにっていう命を下すんだけど、アマテラスは自分の孫のひとりがとっくに葦原中国に降りていったってことを知らなかったの?
この不自然さ。
天火明がニニギの兄っていう設定が、取り繕おうとするほど嘘臭くなってくる。ちなみに、天孫・天火明って、別名
天照国照彦火明櫛玉饒速日命っていうらしいんですけどね。
(つづく)

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