2022.
11.
23
例えば、伝説のひとつにこのようなものがあります。
ヌナカワヒメがブスだったのでオオクニヌシと夫婦仲が悪く(ニニギ尊並のカスっぷり)、能登国に至るもとうとうヌナカワヒメは逃げた。(中略)追っ手はヌナカワヒメを見失い、周囲に火を放った。あぶり出そうとするもヌナカワヒメは出て来ず、姫の御魂を祀った。
…って、焼死したんだよね……?
悲惨すぎる。こんなの、泣くしかないよヌナカワヒメ……
イワナガヒメに手を付けずに実家に帰しただけのニニギがまともに思えてくるくらい、オオクニヌシが鬼。
そのほかにも、様々な伝承がありますので、
糸魚川市のHPをご覧下さい。
わざわざ糸魚川市が公式の情報として、記紀には無く神社にひっそり残されていた伝承を集めて公開した。
この事実は、非常に重いと思います。
なのに、ヌナカワヒメがオオナムチと一緒に祀られている神社があり、鎮魂と言うよりも呪縛のよう。また同系統の別の神社では祭神がオオナムチのみになっていてヌナカワヒメの名前が無い、という不自然。
出雲国風土記には、所造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ/オオナムチ)が越の八口を平らげてお帰りになった時に云々とサラッと書かれていて、越の八口が何なのか、平らげて=支配下に置いてということなのだろうけれどもそれは戦争で勝ったのか恫喝の末の話し合い(国譲りみたいに)によるものだったのか、何も記されていません。
古事記を読むと、オオナムチは通りすがりのウサギに治療法を教えて助けてあげるような、心優しく知恵のある神であり、また仕方無くも国譲りに同意してしまうような戦いを好まない平和の神のように書かれていますが、領土を拡大して大国にしたからこその大国主であって、そんなの全部各地の姫との婚姻で済む訳がない。
力ずく、戦争、そういう手段を取って当たり前の時代です。1万年以上殆ど戦わずに人々が暮らしていた縄文時代は遥か昔となり、邪馬台国の卑弥呼も戦争やってたようだしし、神話の中でもイワレヒコ軍とナガスネヒコ軍が二度の戦をしています。イワレヒコ=神武帝ですから、この辺りは史実に沿った記述のはずです。
だから、オオナムチも平和裡に巫女姫を現地妻にしたり、そうならない場合は戦を交えて巫女姫=その土地の女王を強奪したことでしょう。
そんな悲劇の女王のひとりがヌナカワヒメで、オオナムチは彼女を現地妻にするのではなく、能登に連れて行ったということはそこから舟で出雲に向かうつもりだったのだと思います。
ヌナカワヒメは人質です。
翡翠の産地の女王は特別で、確実に自分の子を産ませなければならない。宝石は誰にも奪われぬように身近なところに鍵でもかけて置いておきたい。
だから連れ去ろうとした。
同じように、ヌナカワヒメのように大国主に妻問いされて、逃げに逃げた姫神がいます。
カミムスビの娘、綾門日女(アヤトヒメ)です。
アヤトヒメについては、以前に記事にしたことがあるので、PCだとリンク一覧の下(長々しいです。かなり下にスクロールして下さい)にある検索欄に「アヤトヒメ」で出てきます。
スマホ版は自分では見たことがない(すみません作業は専らPCです)のですが、検索欄くらいちゃんとあるはずですので、興味のある方はご覧下さい。
アヤトヒメは「黄泉の穴に隠れた」という伝承と共に、その穴とされるところに神社があります。
黄泉の穴に隠れたとは、何のほのめかしもない文章です。アヤトヒメは険しい山にまで必死に逃げて、亡くなったのです。
日本中にその名を知られたモテ男・大国主の、これが正体だと思います。
そう言えば、オオナムチの呼称は、ヌナカワヒメを訪ねた時だけ八千矛(ヤチホコ)でしたね。
オオナムチ・大国主には数多の別名がありますが、武器の名が含まれる呼称は八千矛だけです。
出雲だから「八」が付くのかな、くらいに思っていたのですが、「八千」の「矛」と言われる程度に何度も戦を仕掛けた王なのでしょう。
そのように戦乱を制して勝利する者が英雄であり、そのような時代は戦国時代まで続き、江戸時代で数百年ストップするものの、黒船が来航し明治になってからは、それが世界の常識だということを日本は思い知らされました。
だから、オオナムチが鬼であっても、武士の末裔として生き残った私に責める権利はないのでしょう。
ただ、ヌナカワヒメ様とアヤトヒメ様の御魂がやすらかでありますように。
ヌナカワヒメがブスだったのでオオクニヌシと夫婦仲が悪く(ニニギ尊並のカスっぷり)、能登国に至るもとうとうヌナカワヒメは逃げた。(中略)追っ手はヌナカワヒメを見失い、周囲に火を放った。あぶり出そうとするもヌナカワヒメは出て来ず、姫の御魂を祀った。
…って、焼死したんだよね……?
悲惨すぎる。こんなの、泣くしかないよヌナカワヒメ……
イワナガヒメに手を付けずに実家に帰しただけのニニギがまともに思えてくるくらい、オオクニヌシが鬼。
そのほかにも、様々な伝承がありますので、
糸魚川市のHPをご覧下さい。
わざわざ糸魚川市が公式の情報として、記紀には無く神社にひっそり残されていた伝承を集めて公開した。
この事実は、非常に重いと思います。
なのに、ヌナカワヒメがオオナムチと一緒に祀られている神社があり、鎮魂と言うよりも呪縛のよう。また同系統の別の神社では祭神がオオナムチのみになっていてヌナカワヒメの名前が無い、という不自然。
出雲国風土記には、所造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ/オオナムチ)が越の八口を平らげてお帰りになった時に云々とサラッと書かれていて、越の八口が何なのか、平らげて=支配下に置いてということなのだろうけれどもそれは戦争で勝ったのか恫喝の末の話し合い(国譲りみたいに)によるものだったのか、何も記されていません。
古事記を読むと、オオナムチは通りすがりのウサギに治療法を教えて助けてあげるような、心優しく知恵のある神であり、また仕方無くも国譲りに同意してしまうような戦いを好まない平和の神のように書かれていますが、領土を拡大して大国にしたからこその大国主であって、そんなの全部各地の姫との婚姻で済む訳がない。
力ずく、戦争、そういう手段を取って当たり前の時代です。1万年以上殆ど戦わずに人々が暮らしていた縄文時代は遥か昔となり、邪馬台国の卑弥呼も戦争やってたようだしし、神話の中でもイワレヒコ軍とナガスネヒコ軍が二度の戦をしています。イワレヒコ=神武帝ですから、この辺りは史実に沿った記述のはずです。
だから、オオナムチも平和裡に巫女姫を現地妻にしたり、そうならない場合は戦を交えて巫女姫=その土地の女王を強奪したことでしょう。
そんな悲劇の女王のひとりがヌナカワヒメで、オオナムチは彼女を現地妻にするのではなく、能登に連れて行ったということはそこから舟で出雲に向かうつもりだったのだと思います。
ヌナカワヒメは人質です。
翡翠の産地の女王は特別で、確実に自分の子を産ませなければならない。宝石は誰にも奪われぬように身近なところに鍵でもかけて置いておきたい。
だから連れ去ろうとした。
同じように、ヌナカワヒメのように大国主に妻問いされて、逃げに逃げた姫神がいます。
カミムスビの娘、綾門日女(アヤトヒメ)です。
アヤトヒメについては、以前に記事にしたことがあるので、PCだとリンク一覧の下(長々しいです。かなり下にスクロールして下さい)にある検索欄に「アヤトヒメ」で出てきます。
スマホ版は自分では見たことがない(すみません作業は専らPCです)のですが、検索欄くらいちゃんとあるはずですので、興味のある方はご覧下さい。
アヤトヒメは「黄泉の穴に隠れた」という伝承と共に、その穴とされるところに神社があります。
黄泉の穴に隠れたとは、何のほのめかしもない文章です。アヤトヒメは険しい山にまで必死に逃げて、亡くなったのです。
日本中にその名を知られたモテ男・大国主の、これが正体だと思います。
そう言えば、オオナムチの呼称は、ヌナカワヒメを訪ねた時だけ八千矛(ヤチホコ)でしたね。
オオナムチ・大国主には数多の別名がありますが、武器の名が含まれる呼称は八千矛だけです。
出雲だから「八」が付くのかな、くらいに思っていたのですが、「八千」の「矛」と言われる程度に何度も戦を仕掛けた王なのでしょう。
そのように戦乱を制して勝利する者が英雄であり、そのような時代は戦国時代まで続き、江戸時代で数百年ストップするものの、黒船が来航し明治になってからは、それが世界の常識だということを日本は思い知らされました。
だから、オオナムチが鬼であっても、武士の末裔として生き残った私に責める権利はないのでしょう。
ただ、ヌナカワヒメ様とアヤトヒメ様の御魂がやすらかでありますように。

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