2022.
04.
11
何度も言ってますが、スセリヒメは出雲女王です。
スサノオ溺愛の末子・スセリヒメは出雲の継承者なのですから巫女姫の役割だったと思います。
十種神宝の比礼を持っていたのはスセリヒメなのですから。
そして、遥か昔は政治王よりも巫女王の地位が高かった。
だから、卑弥呼亡き後、男王だけでは民衆が不安定になり国が乱れ、トヨが新たな女王になってやっと民衆は安心した。
しかし、所造天下大神(あめのしたつくらしし おおかみ)と出雲国風土記が大絶賛している程度に、政治王です。
実際に国を広げたのが大国主(オオナムチ)なので、その業績を後世に誉め讃えられることになるのはスセリヒメではなく大国主になってしまう。
そんなにもヨイショされる所造天下大神ですが、大きな弱点があります。
オオナムチはスセリヒメの夫だから出雲王になれたのであって、スセリヒメを失ったらその正当性も失われるのです。
…なのに!
大国主はスセリヒメの嫉妬に辟易して、大和(大物主こと大年がいる)に行っちゃうよ~オレがいなくなったらお前は寂しいだろうな~なんて歌ってスセリヒメを見下すカスなんですが、スセリヒメはそれでもこのダメ夫を許します。
嗚呼なんて健気なスセリヒメ様。おいたわしい…こんな男の何処がいい。
※ 私は大国主に対して点数が辛いです。いくら名君でも女の敵。
ところで、大変興味深い記述を見付けたので、日本結婚史というHPから引用致します。(以下引用)
神話の中の結婚
「古事記」によると、イザナギ・イザナミはオノゴロ島の八尋殿の神聖な御柱を旋って結婚している。
この時女神が先に言あげ(発言)をして「あなにやし、えをとこを」(あなたはよい男だ)といい、男神はあとで同様の事を言ったが、これがわざわいして不具の蛭子が生れたので、今度は男神が先に言あげして、淡路島と四国とを生んだ。
我国の礼儀は男性を先とし、女性をあとにすることは、遠くここに起原を求めることが出来る。
男子が適当な娘を見初めれば直接申し込むか、その父兄に申し込む。
あるいは臣下を娘の家へやって申し込むこともある。
婚姻の場合は、まず男が妻となる女性を求めたが、これを「つままぎ」といった。そして結婚の申込を「つまどひ」といった。こうしたつまどひに対して、女性が承諾するとここに婚約が成立する。男女の出合いの場には、五穀豊饒を祈ったり、また取り入れの祭礼に、男女が歌い踊る歌垣というものがあった。ここで男女が歌を歌い合って、求婚の機会とした。 申し込まれた娘は父兄に身のふり方につて相談して、もし異存がなければ、即座に縁談が成立し、婿になる人は娘の家で挙式するのである。そして男はある期間同家に通い、後に家居を建ててここに同棲することになる。男子は早婚であったが、妻のない人は「妻まぎの旅」といって妻を求めて旅をした。かの大国主の兄弟八十神が妻まぎの旅に出るので、大国主は袋を持って従ったことが伝説に残されている。
(引用終わり。改行・太字・下線は私)
確かに、古事記にもこれに近い描写がありますね。
下半身に忠実な大国主は、あちこちに『つままぎ』に行っては『妻問い』を繰り返していた訳で、その例がヤガミヒメであったりヌナカワヒメの物語になっています。
ヌナカワヒメは大国主のせっかちな妻問いに対して、思わせ振りな歌を送りその晩はやり過ごし、翌日に結婚しています。
ヌナカワヒメは結婚に至る前に父か兄に相談していたのかも知れません。
一方ヤガミヒメは八十神の前でいきなり『あなた達とは結婚しません。私はオオナムチ様を選びます!』と宣言しちゃう訳ですが、実際にはそれなりに手順を追って妻問い→結婚 に至ったのでしょう。何しろあちらも『姫』ですから。
が、この男は下線を引いた『家居を建てて同棲する』をヤガミヒメにやったのかやらなかったのかわかりません。
わかるのは、
おそらく最初の妻であるヤガミヒメをほったらかしにして次の妻問いをし、二番目に妻にしたスセリヒメを正妻にして、その正妻が住まう宮殿に妊娠中のヤガミヒメを呼び寄せるという無神経をやらかしやがったということです。
当然にスセリヒメは激昂するし、ヤガミヒメも私は正妻ではなかったの?私は妊娠してるのに!?と混乱したでしょうし嘆き悲しんだことでしょう。
正妻様はお怒りだし、昼間は大国主は外に出ているであろうし、夜には戻ってくる大国主は妊婦の自分ではなくスセリヒメの元へ……だなんて、ヤガミヒメには希望の欠片もありません。
そして、傷心のヤガミヒメは子を産みますが故郷に帰ってしまいます。
どうして、末子にはなり得ない=出雲の跡取りにはなれない子・御井神を置いて出ていったのかは解りませんが……
私、リアル母だから言うよ?
産後間もなく、お腹の中で十月十日育て、命を懸けて産んだ赤ちゃん、メチャクチャ可愛いよ?愛おしいよ?
生まれ立ての赤ん坊を猿とか半魚人とか言う男、そこに並べ。全員グーで殴ってやる。
そんな愛し子を手放したヤガミヒメの心痛はいかばかりか……
大国主本当にゴミだな。
人々に誉め讃えられながら、手を出した女を悉く不幸にして回る大国主。
古代の光源氏かよ。
幼妻の為に八重垣の宮を建て、八雲八重垣の和歌を送った誠実と雅を搭載したスサノオ様の爪の垢を煎じて飲めや。
ひょっとしたらスサノオ様は、歌垣でクシナダヒメを見初め、テナヅチアシナヅチ夫妻に
『クシナダちゃんをオレに下さい!!』
とか許可を求めたのかしら……スサノオ様いい男過ぎる。
スサノオ×クシナダ尊い。
(つづく)
スサノオ溺愛の末子・スセリヒメは出雲の継承者なのですから巫女姫の役割だったと思います。
十種神宝の比礼を持っていたのはスセリヒメなのですから。
そして、遥か昔は政治王よりも巫女王の地位が高かった。
だから、卑弥呼亡き後、男王だけでは民衆が不安定になり国が乱れ、トヨが新たな女王になってやっと民衆は安心した。
しかし、所造天下大神(あめのしたつくらしし おおかみ)と出雲国風土記が大絶賛している程度に、政治王です。
実際に国を広げたのが大国主(オオナムチ)なので、その業績を後世に誉め讃えられることになるのはスセリヒメではなく大国主になってしまう。
そんなにもヨイショされる所造天下大神ですが、大きな弱点があります。
オオナムチはスセリヒメの夫だから出雲王になれたのであって、スセリヒメを失ったらその正当性も失われるのです。
…なのに!
大国主はスセリヒメの嫉妬に辟易して、大和(大物主こと大年がいる)に行っちゃうよ~オレがいなくなったらお前は寂しいだろうな~なんて歌ってスセリヒメを見下すカスなんですが、スセリヒメはそれでもこのダメ夫を許します。
嗚呼なんて健気なスセリヒメ様。おいたわしい…こんな男の何処がいい。
※ 私は大国主に対して点数が辛いです。いくら名君でも女の敵。
ところで、大変興味深い記述を見付けたので、日本結婚史というHPから引用致します。(以下引用)
神話の中の結婚
「古事記」によると、イザナギ・イザナミはオノゴロ島の八尋殿の神聖な御柱を旋って結婚している。
この時女神が先に言あげ(発言)をして「あなにやし、えをとこを」(あなたはよい男だ)といい、男神はあとで同様の事を言ったが、これがわざわいして不具の蛭子が生れたので、今度は男神が先に言あげして、淡路島と四国とを生んだ。
我国の礼儀は男性を先とし、女性をあとにすることは、遠くここに起原を求めることが出来る。
男子が適当な娘を見初めれば直接申し込むか、その父兄に申し込む。
あるいは臣下を娘の家へやって申し込むこともある。
婚姻の場合は、まず男が妻となる女性を求めたが、これを「つままぎ」といった。そして結婚の申込を「つまどひ」といった。こうしたつまどひに対して、女性が承諾するとここに婚約が成立する。男女の出合いの場には、五穀豊饒を祈ったり、また取り入れの祭礼に、男女が歌い踊る歌垣というものがあった。ここで男女が歌を歌い合って、求婚の機会とした。 申し込まれた娘は父兄に身のふり方につて相談して、もし異存がなければ、即座に縁談が成立し、婿になる人は娘の家で挙式するのである。そして男はある期間同家に通い、後に家居を建ててここに同棲することになる。男子は早婚であったが、妻のない人は「妻まぎの旅」といって妻を求めて旅をした。かの大国主の兄弟八十神が妻まぎの旅に出るので、大国主は袋を持って従ったことが伝説に残されている。
(引用終わり。改行・太字・下線は私)
確かに、古事記にもこれに近い描写がありますね。
下半身に忠実な大国主は、あちこちに『つままぎ』に行っては『妻問い』を繰り返していた訳で、その例がヤガミヒメであったりヌナカワヒメの物語になっています。
ヌナカワヒメは大国主のせっかちな妻問いに対して、思わせ振りな歌を送りその晩はやり過ごし、翌日に結婚しています。
ヌナカワヒメは結婚に至る前に父か兄に相談していたのかも知れません。
一方ヤガミヒメは八十神の前でいきなり『あなた達とは結婚しません。私はオオナムチ様を選びます!』と宣言しちゃう訳ですが、実際にはそれなりに手順を追って妻問い→結婚 に至ったのでしょう。何しろあちらも『姫』ですから。
が、この男は下線を引いた『家居を建てて同棲する』をヤガミヒメにやったのかやらなかったのかわかりません。
わかるのは、
おそらく最初の妻であるヤガミヒメをほったらかしにして次の妻問いをし、二番目に妻にしたスセリヒメを正妻にして、その正妻が住まう宮殿に妊娠中のヤガミヒメを呼び寄せるという無神経をやらかしやがったということです。
当然にスセリヒメは激昂するし、ヤガミヒメも私は正妻ではなかったの?私は妊娠してるのに!?と混乱したでしょうし嘆き悲しんだことでしょう。
正妻様はお怒りだし、昼間は大国主は外に出ているであろうし、夜には戻ってくる大国主は妊婦の自分ではなくスセリヒメの元へ……だなんて、ヤガミヒメには希望の欠片もありません。
そして、傷心のヤガミヒメは子を産みますが故郷に帰ってしまいます。
どうして、末子にはなり得ない=出雲の跡取りにはなれない子・御井神を置いて出ていったのかは解りませんが……
私、リアル母だから言うよ?
産後間もなく、お腹の中で十月十日育て、命を懸けて産んだ赤ちゃん、メチャクチャ可愛いよ?愛おしいよ?
生まれ立ての赤ん坊を猿とか半魚人とか言う男、そこに並べ。全員グーで殴ってやる。
そんな愛し子を手放したヤガミヒメの心痛はいかばかりか……
大国主本当にゴミだな。
人々に誉め讃えられながら、手を出した女を悉く不幸にして回る大国主。
古代の光源氏かよ。
幼妻の為に八重垣の宮を建て、八雲八重垣の和歌を送った誠実と雅を搭載したスサノオ様の爪の垢を煎じて飲めや。
ひょっとしたらスサノオ様は、歌垣でクシナダヒメを見初め、テナヅチアシナヅチ夫妻に
『クシナダちゃんをオレに下さい!!』
とか許可を求めたのかしら……スサノオ様いい男過ぎる。
スサノオ×クシナダ尊い。
(つづく)

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八家さまへ
貴重な考察をありがとうございます。
最近のことですが、因幡の姫については私も同神の可能性を考えていたところです。
私のテリトリーは陸奥国なので、ヤマトも山陰も土地勘ゼロです。
でも、調べてみたら結構因幡に出雲の姫神が祀られているらしく、……同一?という可能性を考えるようになりました。
「八神」だとしたらものすごい名前になりますし。
そもそも、御井神を置いて去りました、で終わって御井神共々その後全く出て来ない地方妻の伝承を、どうしてわざわざ古事記は載せたのだろうか?という不可解さもあります。
ヌナカワヒメについては、『悲劇の姫神・ヌナカワヒメ』というシリーズ(だったかな?)というシリーズで、別神だという結論を出しております。糸魚川市の公式HPにリンクを貼っておりますのでお読み下さい。
また、秘された御子神(姫神?)ミホススミのことも気になります。美保神社の美保です。元の祭神かどうかはわかりませんが、ミホにいたからミホススミなのでは?とと思います。記紀にはない神名ですが、風土記に出ていたと思います。
かぐや姫は、迷いますね。
オオトシ妃に香用比売(かよひめorかぐよひめ)という名があるので何かしら繋がりがありそうだと思っています。
かぐや姫は天皇ですら妃にしようとした、という皇統との絡みも気になります。
私は、この神とあの神とその神は同じ!というのは、極力避けたいと思っているのですが、それでも同じじゃないと辻褄が合わないとか、エピソードが被りすぎているとかいう理由で、同一説を採らなければならないことが結構あります。
これからも、神話の複雑さに唸りつつ、思い付いたことをブログに書いていこうと思います。
最近のことですが、因幡の姫については私も同神の可能性を考えていたところです。
私のテリトリーは陸奥国なので、ヤマトも山陰も土地勘ゼロです。
でも、調べてみたら結構因幡に出雲の姫神が祀られているらしく、……同一?という可能性を考えるようになりました。
「八神」だとしたらものすごい名前になりますし。
そもそも、御井神を置いて去りました、で終わって御井神共々その後全く出て来ない地方妻の伝承を、どうしてわざわざ古事記は載せたのだろうか?という不可解さもあります。
ヌナカワヒメについては、『悲劇の姫神・ヌナカワヒメ』というシリーズ(だったかな?)というシリーズで、別神だという結論を出しております。糸魚川市の公式HPにリンクを貼っておりますのでお読み下さい。
また、秘された御子神(姫神?)ミホススミのことも気になります。美保神社の美保です。元の祭神かどうかはわかりませんが、ミホにいたからミホススミなのでは?とと思います。記紀にはない神名ですが、風土記に出ていたと思います。
かぐや姫は、迷いますね。
オオトシ妃に香用比売(かよひめorかぐよひめ)という名があるので何かしら繋がりがありそうだと思っています。
かぐや姫は天皇ですら妃にしようとした、という皇統との絡みも気になります。
私は、この神とあの神とその神は同じ!というのは、極力避けたいと思っているのですが、それでも同じじゃないと辻褄が合わないとか、エピソードが被りすぎているとかいう理由で、同一説を採らなければならないことが結構あります。
これからも、神話の複雑さに唸りつつ、思い付いたことをブログに書いていこうと思います。
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