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2020. 03. 31  
そして、不思議なことに、アワことオオゲツヒメは、実は古事記では2回生まれているんです。
1回目は既に述べたとおりに国産みの場面で、四国の4つの顔の一つです。

国産みを追えると、ギ・ミ夫婦神が、もう読み飛ばしたくなる感じに沢山の神を生む訳ですが、

>次に生んだ神は、鳥之石楠船(とりのいわくすふね)で、またの名は天鳥船(あめのとりふね)という。
>次に大宜都比売(おおげつひめ)を生んだ。

確かに、同じオオゲツヒメという名前だし、しかもその前には鳥之石楠船(とりのいわくすふね)まである。
表記は違いますが、日本書紀の『鳥磐櫲樟船/とりのいわくすぶね』と同じものでしょう。(日本書紀は『櫲樟』と書いて『くす』と読ませた。同じクスノキの意)

『鳥磐櫲樟船』とは、日本書紀の異伝に出てくる、ヒルコが捨てられる時に乗せられた船の名前です。
※ 本文では天磐櫲樟船を採用している

日本書紀異伝では、わざわざ鳥磐櫲樟船という神を生んで、その船にヒルコを乗せるのです。(モノ自体が神、という発想は日本古来の信仰では珍しくない。天叢雲剣が神宝であると同時に《神》であるように)

でも、古事記では、鳥之石楠船という神が生まれた次にオオゲツヒメが生まれている
日本書紀のヒルコと非常によく似た流れです。これが同パターンだとすると、

鳥之石楠船とは、オオゲツヒメ=アワシマが海と天(どちらもアメ/アマ)を渡る船だということになります。

大宜都比売とは、偉大さを讃える『大』をとっぱらってしまえば、『ゲツヒメ』。
ゲ→ケで、ケ(食)の姫神です。

そして。姫ではないんですけれども。
そもそもこの連載の端緒になった出雲国造神賀詞に出て来て、熊野大社の祭神でもある、

伊邪那伎日真名子(いざなぎのひまなこ)加夫呂伎熊野大神(かぶろぎくまのおおかみ)櫛御気野命(くしけみぬのみこと)

つまりスサノオの長々しい名前なんですが、その長々しい装飾を外してしまえば、『ケヌミコト』。→

ケ(食)の神、であることは、この長々しい連載の初めの方で述べました。

日本書紀には、アワシマ同様に、出雲の後継者・スセリヒメも、古事記では大物主と同一であることを匂わされているオオトシ神も出て来ません。

日本書紀の本文では、オオナムチはスサノオとクシナダヒメの実子で、しかもオオナムチひとりしか出て来ません。
そして、その後のスサノオの半生は語られないまま、スサノオは根の国に去ります。
異伝では、古事記に出てくる神と同神かと思われる思われる神の名も散見されますが、それが返って、スセリヒメとオオトシを排除したのは、よほど触れたくなかったんだなと思います。

そのように、『アワシマ』も重要な神だから日本書紀は黙殺したのではないか。

どのように重要で、どのように邪魔だったのだろう…?

私は、A神とB神とC神とD神は同神だ!というのは、基本あまりやりたくないと思っています。
同神だということにすると、非常に単純な構図になって、自分の考察を通しやすくなる、という、場合によっては御都合主義の安易な手段だからです。

でも、スサノオは謎だらけの神です。
謎だらけなので、多くの人が『荒ぶ神』、『嵐の神』、『ツクヨミと同神』、辺りが通説のまま止まっているのだと思います。

私は、勉強不足にも、出雲国造神賀詞で謳われるスサノオの名や、熊野大社の祭神の名を知りませんでした。
知らないままだったら、スサノオが太陽の神で食の神であるということなど、露ほども思い付かなかったと思います。

実際、記紀編纂時の権力者の意向で、《スサノオが何者なのか》を幾重にも隠しているので、私も基本スタンスから外れて、スサノオやヒルコ、アワシマが

どの別神の名で隠されているのか?

…ということを、を探し出さなければなりません。
記紀は権力者の意に添うように書かれている一方で、『本当はこうだよ』というヒントも残してくれているのですから。そして、

様々な属性を持っている神代表は、意外にも至高の最高神・女神アマテラスです。

この神もまた、スサノオとは真逆の理由で正体を隠され、これでもかと不自然に祭り上げられている故に、かえって

太陽神になり切れていないのです。

(つづく)
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プロフィール

chikaru414

Author:chikaru414
日本の神話と神社仏閣、それにまつわる歴史が好きです。
スサノオ様、スセリヒメ様はじめ出雲の神様と水神様推し。
定義山西方寺を崇敬。伊達政宗公を尊敬する伊達家家臣末裔です。透明水彩絵師。

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