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2022. 06. 05  
神様や神話や神社の謎に嵌まると、「自分の説」っていうのがある程度出来上がってくるのね。

で、ありがちなパターンは、何でもお気に入りの神様に結びつけたくなってくる。

何でも瀬織津姫と同神とか、何でもスサノオ様と同神とか、何でも岐神とか、色々あるんですけど、自分と御縁がある気がする神様について入ってくる情報、実は無意識に選択した情報を集めると、いつの間にか奇跡みたいに繋がって自説を裏付けたような錯覚に陥る。

都市伝説は情報が少ないところに生まれる、って言ったのは誰だったか忘れてしまいますけど、それと似たような感じでしょうか。
YouTubeとか見てると、日本の神話や日本人の起源を何でもヘブライ語で読めるとか何でもユダヤ由来とか何でも宇宙人とか、何かもうウンザリする感じになってくる。

まあ、UFOは来てるんでしょうけど。アメリカがとうとう公的に認めちゃったみたいに。
自衛隊の戦闘機が訓練中に遭遇してるんだけど口外出来ないとか言われてるように。
つか、宇宙人やUFOにさして興味のない私であっても、

宇宙人のホルマリン漬けとかとっくの昔からNASAが持ってるんだろくらいのことは思ってる。

でも、そっちは宇宙人マニアとかNASAとかに任せておきます。
あんまり心惹かれないので私には御縁がないのでしょう。

私、十数年前までは、瀬織津姫様にとても惹かれていたんです。「円空と瀬織津姫」を古書で買ったりしてね。
ハードカバーなのに細かい文字に分厚いの上下巻で疲れちゃって流し読みになっちゃった不真面目な奴なんですが。

その後何年もしないうちに、誰でも彼でも瀬織津姫瀬織津姫言い始めて、どの辺封印された女神なんだろうかもう表舞台のスターじゃん、という感じになってくると、特にスピリチュアル方面の人々が、あれこれトンデモな事を言い出したり本にもなったり、それを真に受ける人が大量に出て来ちゃって、私は瀬織津姫様は好きだけど、瀬織津姫に群がる思い込みの強い人とか詐欺セミナー開く人とか、そういう状況が大嫌いになってしまったんです。

私は東北住まいなので、古事記とか日本書紀の舞台になっている関西とか九州とか、そっちには全く土地勘がないし、よく考えてみたら、

こっちの人間にとってヤマト朝廷の勢力ってのは侵略者以外の何ものでもないんだよね。

そして、「日本神話」というのはみちのくとは無縁に、たまに蛮族呼わばりされる程度に、侵略者の神話で、征服者の歴史です。

だから、日本全国の神様を、この神とこの神とこの神もその神も同神だ!とかいうの見ると、

何か、めっちゃ腹立つ。

日本はほぼ山と海しかない国なので、一山越えたら言葉が通じませんなんていうのは昭和ですらあるあるだったんですよね。
※ 旧南部藩に引っ越した時、友達の家に遊びに行くのが恐怖だった。その子のおばあちゃんからむやみに話しかけられるんだけどまじ何言われてるのかわからない滝汗

かつて、山がちの日本列島には、さして広くはない文化圏ごとに、それぞれの、たくさんの神話や昔話があった。

クシナダヒメの両親がアシナヅチ&テナヅチとか、何かすごい雑なネーミングになってるけど、本当の名前って何だったんだろう?
足(手)が無い=蛇説もあれば、足(手)が長い説もあって、地域伝承では巨人だったり妖怪だったりするんだよね。
それが本名だったり通り名だったりしたんだろうか?本当に???

実は、日本書紀の異文では、誰か良心を持った人物が、密かに書き残していてくれた。
その異文によると、クシナダヒメの母神は、

稲田宮主賛狭之八箇耳(いなだのみや ぬし すさやつみみ

という、スサの女帝の如き称号を持っていた。
「ミミ」だけでも族長クラスなのに、そこに「八」=「たくさん」を付けなければならないほど、高貴オブ高貴な女性だった。
或いは、没後に高貴オブ高貴な諡号を送られた女性だったというこです。

※ 個人的には、神名は引き継がれる称号であったり(だから同じ名でも複数名の神がいても不思議ではない。代表例オオゲツヒメ)、諡号が多いのではないかと思っています

口伝は分岐する。
言い伝えはどんどん変化して枝分かれして、どれが本当かもわからないし正解があるのかもわからない。
だって、人間が信じた時点でそれはもうその土地の信仰として根付いたということなのだから。

日本書紀表記で眞髪觸奇稲田媛(まかみorまくし/ふる くしいなだひめ)とか、「クシ」と「フル」を名前に持つ姫神がただ者であるはずがなく、ならばその両親もただ者じゃないことくらいわかります。

出雲国風土記に至っては久志伊奈太美等与麻奴良比売命くしいなだみとよまぬらひめ)で、「クシ」と「トヨ」をダブルで持っている凄さ。

スサノオ様がまだ童女(古事記表記。日本書紀の異伝では「テナヅ尊」のお腹の中の胎児)だったクシナダヒメを所望したのは童女クシナダちゃんが美少女だったからではなく(私は美少女だったと信じてるけどな!)、当然にスサノオ様がロリコンであった訳でもない。
とてつもなく高貴な姫で恐らく次代の女王レベルの姫だったから結婚したんです、多分。

でも、「由良比女神社」に祀られ「ユラ」の名を持つスセリヒメがそうであるように、ニギハヤヒ妃のミカシキヤヒメもまたそうであるように、敗者サイドの、何故か特に女神は情報が隠滅されてしまっている。

卑弥呼が女王で「男弟」とやらは政治を行っていたらしいのに格下だったとか、そういう女王優位の男女統治の名残かも知れないと、私は個人的に推察していますが。
※ 男女一対の神の場合、二柱を一対に揃えてしまうと神威が増幅されるとか、特に女神の側に男神に力を与える効果があるので引き離された可能性

そして、東北地方の聖地の祭神は、征服者どもによってかなりすげ替えられています。

志波姫様は、コノハナサクヤヒメでもアメノウズメ姐さんでもないからな。
宮城県内に3つも志波姫神社があって、どの神社にも志波姫という女神は祀られておらず、しかし宮城の地名にはガッツリと《志波姫》が残っている程度に、志波姫という神様はその地の人々に本当に信仰されていた。

志波姫様は志波姫様であって、サクヤ様でもウズメ様でもないのよ。
蝦夷とか蔑みたけりゃ勝手にしろよ過去のことだ。でもその土地の人々が崇めた神を舐めるなよ。


……そういう、葬った隙間や伝承に、今の人間の妄想が入り込む。
楽しいですけどね、考察するのは。私も好きでやっていますし。

でも、私はいつも、「自分は勘違いしているかも知れない」「自分には知識が全く足りてない」ということは、忘れずにいようと思っています。

「こうだったら凄いな」とか「こうだったらワクワクするな」とかいうのはありますけど、それは単に私の興味と好みでしかないから。

そう言えば、鹽竈神社には縄文遺跡があるんだよね。
由緒ある神社に古い遺跡があるっていうのは定番パターンであるようで、つまり神社はどこに建ててもいい訳では無く、「聖地」でなければならない。

鹽竈神社の真の祭神はシオツチノオジじゃないし、右宮と左宮の鹿島香取両神宮の神は征服者が据えた神だし、私が崇敬する志波彦様と志波姫様も始めから鹽竈に居た訳ではなくて、多分もっともっと遥か昔には縄文人の神が祀られていらした。

そういうことを、私は忘れずにいたいんです。
何でも同神とか異名同体とか、安易に断じたくないんです。

2022. 06. 04  
コノハナサクヤヒメが織姫のひとりっていうのは神話を読んでいればわかる(天孫ニニギが機織りをしていたサクヤヒメをナンパしてすぐ求婚)のですが、機織りをしていたのはサクヤヒメだけじゃないんですよね。

多分、姉のイワナガヒメとチルヒメも機織りをしていた。

天の川の傍にいる織姫が天帝の娘というやんごとなき身分であるように、機織りって高貴な女性のお仕事です。
何せ、高天原でアマテラスやらワカヒルメやらも機織りしてるくらいなので。
タカミムスビの(孫)娘であり天孫ニニギの母神にしてオシホミミの妻神・栲幡千千姫(たくはたちぢひめ)も、名前からして織姫です。

っていうと、ニニギもまた母または祖母と同じような立場の高貴な姫を妻に迎えた、ということで、このエピソードは美女に一目惚れでナンパという話ではなく、歴史を反映しているのなら熟考われた政略結婚なのでしょう。

それにしても、わざわざ天孫って言われるくらい高貴なはずのニニギなのに、神話ではめっちゃdisられてるのって、何なんだろな。

1.出会ってすぐに美女をナンパして結婚。(オオナムチもこれやってるけど)
2.一緒に嫁いできた姉姫を、ブスだからと実家に追い返したkz野郎エピソード。
3.サクヤヒメをゲットしてやることやっておきながら、一晩で孕む訳ないじゃんと疑いサクヤちゃん激おこ。
4.サクヤちゃんは誓約(うけい)通りに3人くらい(異伝があるので)男児を産んでくれたものの怒りは収まらず、ニニギは古事記によると仲睦まじい水鳥を眺めつつ「お前らイチャついてていいよなぁ俺と嫁なんてレスなんだぜ爆発しろ(かなり意訳)」とかいじけた歌を歌うカス野郎エピソード。

私も大概不敬ですが、この一連の流れを読んでニニギ様ステキ!!って思ったんですかね?当時の人は。
そうだとしたら私現代人だから古代人の美意識わかんない。
そこにサクヤヒメだけ娶ってイワナガヒメを選ばなかったので人間の寿命が短くなったというバナナ型神話まで付いて来るし。

※ バナナ型神話:バナナと石とどっちか選べと言われてバナナを選んだので、人間はすぐに腐るようになったという容赦ない話で、類型が世界のあちこちに見られる

神の末裔であるはずの人間の寿命が何故短いのか?という謎を此処で回収しているとは言え、もうこれ完全にニニギが悪いんじゃん展開だもんね。
つか、いいエピソードってどこにあるんだ?って感じのダメっぷり、ヤマト王朝サイドが祖神を天孫降臨ニニギじゃなくて高天原の祖母オオヒルメに遡りたくなったのは仕方がない気もする。

※ ニニギの父神オシホミミも、生まれてきた時には「俺が勝ったぜまさに速く上る陽の如くに勝ったぜヒャッハー」とか意訳だけどこれがほぼ正式な本名になってる割に、葦原中国は怖いよ~とびびって自分じゃなくて息子を天降らせたヘタレなのであんまカッコよくない

※ そしてオシホミミから男系に遡るとスサノオ様になってしまうので、皇室は出雲王スサノオ様が祖神ですとか言える訳が無い。嵯峨天皇はサラッと言っちゃって津島神社に日本総社の称号をあげちゃったんだけど

でも、古事記も日本書紀も政治色が強い書物(政治色のない歴史書なんてどこにもありませんが)なので、

disられている神は実は偉大。

っていうのがわかりやすくお約束なんですよね。
代表例はスサノオ様でしょうか。出雲に着いてからはカコイイけど、誕生~高天原在住までのエピソードはろくなものが無い。嵐の神って説あるけどそれ通り越して盛大な災いの神扱い。
オオナムチも英雄的なエピソードはほぼ無くて顔がいいだけが取り柄みたいな描き方です。
スサノオ様が課した試練も、オオナムチは常に無策でほぼ賢妻スセリヒメ様の機転でやり過ごせただけなので全然カコよくない。

※ 実際オオナムチは根の堅州国に来るまでに2回騙されて2回死んでその度ママに生き返らせて貰ってる

そんなこんなで、天武天皇辺りは、実はニニギ尊が嫌いだったんじゃないかとか、実はニニギは皇統に繋がる神ではないのにどっかから横取りしてきて神話に組み込んだんじゃないかとか、そういう可能性もあると思います。

そして、タイトルに再び戻りますが、イワナガヒメも織姫のひとりで、尚且つ

大神レベルの神威の美女だった。

と思うんですよね。バナナ型神話に巻き込まれて醜女扱いにされただけで。

なんでサクヤヒメが富士山の神なんだろか?
まあ確かに火中出産という荒技を決めてくれたので、火山の神であっても不自然ではないのですが、富士が不死と同義なのであれば、千代に八千代にさざれ石の巌となるまでのイワナガヒメの方が相応しいと思うんですけど。

本当は、ニニギの嫡妻はイワナガヒメだったんじゃないかなーとか、思い付いたのが長々しいツイートみたいな今回の記事でした。
そういう訳で、

実は中身もイケメンなニニギ尊×実は偉大な美女イワナガヒメのハピエンでお願いします。

2022. 06. 03  
この神様も異名が多い神様ですが、カガセオ(私は何となくこの名前で覚えてた。かぐや姫みたいに輝いちゃってる系のイメージで)で検索したら、wikiは天津甕星の表記だったので、記事のタイトルにはこちらで行ってみました。

その異名を列記しますが、
天香香背男(あめのかがせお)。星神香香背男(ほしがみかがせお)、香香背男(かがせお)、天背男(あめのせお)、天村雲命(あめのむらくものみこと)。

ちょっと待て最後のは天孫族が出雲からかっぱらっていった祟る神剣(天皇に祟るから八咫鏡共々皇居に置いておけない)じゃねーかとかいうのは脇に置いて、取り敢えず天津甕星とか香香背男とか言うのなら、

日本書紀でも天津神扱いなんだよねオオヒルメに従わないだけで。
※ そして何故か古事記には登場しない。古事記はなんだかんだ出雲をdisる振りしてめっちゃ文字量多いのに、オオヒルメサイドの敵っていう点では一見似たようなカガセオはガン無視or敢えて沈黙。何でだろ?

私は、オオトシ神妃でミトシ神の母神の香用比売って、「かよひめ」じゃなくて「かぐよひめ」←元々は「かぐやひめ」じゃね?
って思ってたけど、実際読み方揉めてたんですね。

國學院大學 古事記学センターウェブサイトから結構ゴッソリ引用しますが、

>香用比売の読みは、カガヨヒメ・カグヨヒメ・カヨヒメと諸説ある。本文には神名表記の読み方に対する「此神名以音」という音読注があるが、その「香」字の音読みをどう捉えるかで説が分かれている。『日本書紀』に見える「伊香色謎(いかがしこめ)命」などに倣ってカガとする説、『万葉集』の「香山」(かぐやま)などの例によりカグとする説、音読注がわざわざ施されていることから通常のカガ・カグではないとし、『万葉集』の音仮名の例からカとする説がある。
>名義は、カグヨ・カガヨ説の場合、輝く意味で、容貌を褒めた名称とする説や、光の薄くぼんやりちらちらする意味の「かがよふ」の語幹と取り、農耕祭祀の玉や農具に揺曳する光を表わしているとする説がある。また、カカヨヒメと読み、『出雲国風土記』嶋根郡の支佐加比売命の別称かその子神とする説がある。
(引用ここまで)

私も「かぐやま」連想でカグヨヒメでかぐや姫(月の女神もしくは月神の巫女)なんじゃないの、何なら月神瀬織津姫なんじゃないの(男神天照妃)とか、タイトル通り思い付きレベルで頭の隅にあったりしたし、今のところ積極的に打ち消す熱意も無いんですが、

「かがひめ」って、無責任に面白いです、はい。
だって、

「カガ」って蛇じゃん。

清音の「カカ」でもカ→ハの変化の「ハハ」でも大差無い。
だから私は「川/河/かわ」←「カハ」で、蛇が語源だろーなーと思ってたんですが、それならオオトシ神妃・香用比売は、蛇神で水神という読みもアリになる。


話を戻せば、カガセオは輝く男=星神でもいいけど、天の蛇神でも天の川神でもいいじゃんね私がつらつら個人ブログにメモる分には。

天の川だったりすると綺麗だなぁ。
でも、天の川って、天を裂くんだよね。織姫と彦星が引き裂かれているように。

ヤマト王朝サイドが、「星神を信仰する人々」がまつろわぬ民だったので、星神も邪神だって事にしちゃったのか、「天を裂く」から不吉な神話として残したのか、どっちなのか、どちらでもないのか、私が断ずるには知識が足りないんですけど、カガセオの名が天の川の神を意味しているなら面白いな。
或いは、天の川の両側にあるふたつの明るい星のどちらかか。

女神ヘラの母乳が飛び散った乳の道(ミルキーウェイ)より、東の果ての国の民としては、満天の星空を流れる川の方がロマンチックで壮大で綺麗。
流れ星っていう言い方が、中華様から輸入された「流星」なのか、「ながれぼし」という和語なのか私は知らないのですけど、小さく儚なく「流れる星」があるならば、特大サイズの流れる星が天の川で、縄文時代から蛇が好きすぎる日本人ならやっぱり天の蛇で天川、なんじゃないかなぁと思います。

とすると、よく分かんないのがタケハヅチという性別不明(古語拾遺だと天羽槌神なので男神扱いっぽい)の織物の神。
勇ましく「建」なんて頭に付く程度にガチ強い武神で、タケミカヅチ&フツヌシコンビでも倒せなかったカガセオを撃破したのか、或いは麗しい織姫様でハニトラ仕掛けたのかわかりませんが、私は孤高で孤独なカガセオ様には幸せであって欲しいので、カガセオ×タケハヅチのハピエンでよろしくお願いしたいです。

太陽と月を除いて、天でいっとう明るい金星が怪しからん説(西では美の女神の星なのに東では不吉な星とか極端だよなぁ)とか、ミカボシ=三つの星でオリオンの三つの星説とか色々あるようなんですが。

重ねてカガセオ×タケハヅチを推したいです私ハピエン厨なので。

プロフィール

chikaru414

Author:chikaru414
日本の神話と神社仏閣、それにまつわる歴史が好きです。
スサノオ様、スセリヒメ様はじめ出雲の神様と水神様推し。
ホlツlマlツタヱ・富l家l伝承・徐l福l伝l承・日lユl同l祖l論・アlイlヌl先l住l民族説お断り。

定義山西方寺を崇敬。秋篠宮家と伊達政宗公を尊敬する伊達家家臣末裔です。
透明水彩絵師。

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